運行管理者試験過去問題 - 平成27年度第1回(貨物)-解答・解説-
平成27年度第1回運行管理者試験 -貨物-(H27.8実施)-解答・解説-
問24 正解 適3 不適1,2,4
1.適切でない。点呼については、その一部を補助者に行わせることができるが、点呼の一部を補助者に行わせる場合であっても、点呼を行うべき総回数の少なくとも3分の1以上は運行管理者が行わなければならない。本肢の場合、点呼の総回数の7割を超えた回数の点呼を補助者に実施させており、適切ではない。
2.適切でない。本肢のように「Gマークの認定を受けていないA営業所」に所属する運転者は、所属営業所であるA営業所の運行管理者と点呼を行わなければならない。なお、所属営業所ではないB営業所の運行管理者が酒気帯びの有無の確認など所定の事項を対面で確認すること自体は適切であるが、その場合でも、A営業所の運行管理者との点呼が省略できるわけではない。したがって、本肢の場合、運転者とA営業所の運行管理者とが業務前の点呼を実施したとはいえず、適切ではない。
4.適切でない。業務前の点呼における「運転免許証の提示及び確認」については、法令により義務付けられている事項ではないが、業務前の点呼での実施事項として運行管理規程に明記することは適切である。しかし、本肢の場合、運行管理規程に明記したにもかかわらず、その後の業務前の点呼において、運転免許証のコピーによる確認しか行っておらず、適切ではない。
問25 正解 適2,4 不適1,3
1.適切でない。採用時に提出させた履歴書が、法令で定める運転者等台帳の記載事項の内容を「すべて網羅」していればまだしも、ほぼ網羅しているということは一部の事項については記載されていないということなので適切ではない。なお、法令上、運転者等台帳は一定の様式であることが求められており、仮に、法令で定める運転者等台帳の記載事項をすべて網羅している履歴書であっても、運転者ごとに異なる様式の履歴書を運転者等台帳とすることは適切ではないので注意。
3.適切でない。運行管理者は、運転者が運行指示書を携行した運行の途中に、運行経路に変更が生じた場合には、運行指示書の写しに変更内容を記載し、これにより運転者に対し変更内容について適切な指示を行い、運転者が携行している運行指示書に変更内容を記載させなければならない。したがって、運転者に携行していた運行指示書を帰庫後提出させ、運行管理者自ら当該変更内容を記載することは適切ではない。
問26 正解 適2,3 不適1,4
1.適切でない。深夜業務に従事する者に対しては、法に定める定期健康診断を6ヵ月以内毎に1回以上受診させなければならない。
4.適切でない。アルコール依存症は、一度回復しても飲酒することで再発することが多いので、アルコール依存症から回復した運転者に対しても、飲酒に関する指導を継続的に行う必要がある。
問27 正解 適2,4 不適1,3
1.適切でない。前方の自動車を大型車と乗用車から同じ距離で見た場合、それぞれの視界や見え方が異なり、運転席が高い位置にある大型車の場合は車間距離に余裕があるように感じ、乗用車の場合は車間距離に余裕がないように感じやすい。
3.適切でない。車両全長が長い大型車が右左折する場合に、ハンドルを一気にいっぱいに切ると、その間における車体後部のオーバーハング部分の対向車線等へのはみ出し量が大きくなり、対向車などに接触する事故の危険性が高まる。したがって、このような大型車の右左折においては、ハンドルを一気にいっぱいに切らないような運転を心がける必要がある。
問28 正解 A3 B4
本問のような「追越距離」や「追越時間」を求める問題については、数式の暗記が重要であり、それぞれを求める数式は以下のとおりである。
・追越距離={(自車の長さ+前車の長さ+追越前の車間距離+追越後の車間距離)×自車の速度}÷自車と前車との速度差
・追越時間=追越距離÷自車の1秒間の走行距離
A.追越距離の計算
{(10m+10m+90m+90m)×80km/h}÷80km/h-70km/h= 16000÷10=1,600m
B.追越時間の計算
80km=80,000m、1時間=60分=3,600秒なので、80km/hで走行するトラックは、3,600秒(1時間)で80,000m(80km)走行することになる。したがって、本問のトラックの「1秒間に走行する距離」は、80,000m÷3,600秒=22.2mとなり、数式に当てはめると、1,600m÷22.2mで72秒となる。
問29 正解2
選択肢ア~クのどれもが事業者や運行管理者が運転者に対して実施する安全運転に係る対策として適切な内容ではあるが、本問は「過労運転防止のために最も直接的に有効なもの」を選ぶ問題であり、イの「大型トラックの運転方法、多様な地理的・気象状況のもとでの道路状況及び運行の状況に関する指導を計画的に行い、運転者の安全運転に関する技量向上を図ること」、オの「大型トラックの持つ特性等について理解をさせ、運行の安全を確保するための必要な運転に関する技能・知識を習得させること」、クの「ASV(先進安全自動車)の導入により、車両面の安全対策を行っていくこと」は、過労運転防止とは直接的に関係のある対策とはいえない。
したがって、過労運転防止のために最も直接的に有効と考えられる組合せは、ア・ウ・エ・カ・キとなる。
問30 正解1,2
1.適切。本運送に使用する自動車のように「車両総重量が8トン以上又は最大積載量が5トン以上の貨物自動車」の場合、最高速度が指定されていない高速道路における最高速度は80km/hとされている。
E料金所からF料金所までの180kmの距離を2時間30分(2.5時間)で走行した場合の平均速度は180km÷2.5時間=72km/h、G料金所からH料金所までの210kmの距離を3時間で走行した場合の平均速度は210km÷3時間=70km/hとなり、どちらも最高速度である80km/hの範囲内で走行することが可能なので、本肢の運転時間の設定は適切である。
2.適切。問23の解説にもあるように、1日の運転時間が改善基準に違反しているかどうかは、特定の日を起算日として2日ごとに区切り、その2日間の平均で判断するが、「特定日の前日と特定日の運転時間の平均」と「特定日と特定日の翌日の運転時間の平均」が、ともに9時間を超えている場合には改善基準に違反していることになる。
前日の運転時間が9時間15分、当日の運転時間の合計が8時間55分であり、翌日の運転時間は9時間を予定しているので、「特定日の前日と特定日の運転時間の平均」は、(9時間15分+8時間55分)÷2で9時間を超えているが、「特定日と特定日の翌日の運転時間の平均」は、(8時間55分+9時間)÷2で9時間を超えていないため、改善基準に違反していない。
3.適切でない。問22の解説にもあるように、連続運転時間が改善基準に違反しているかどうかは、運転開始後4時間以内又は4時間経過直後に、30分以上の「運転の中断」をしているかどうかで判断する。なお、この30分以上の「運転の中断」については、少なくとも1回につき10分以上(10分未満の場合、運転の中断時間としてカウントされないので注意)とした上で分割することもできる。
往路の運転状況を見ると、運転時間の合計が4時間に達した時点で20分しか運転の中断をしておらず、改善基準に違反している。なお、途中の5分休憩は、10分未満であるため、運転の中断時間としてカウントされないので注意。
復路についても、連続運転を4時間(高速道路での3時間+前後30分ずつ)した後に10分しか運転の中断をしておらず、改善基準に違反している。