運行管理者試験過去問題 - 平成29年度第2回(貨物)-解答・解説-

平成29年度第2回運行管理者試験 -貨物-(H30.3実施)-解答・解説-

5.運行管理者の業務に関し必要な実務上の知識及び能力
  問24 正解 適4 不適1,2,3

1.適切でない。酒気帯びの有無の判定は、道路交通法施行令で定める呼気中のアルコール濃度1リットル当たり0.15ミリグラム以上であるか否かを問わないとされている。つまり、アルコール検知器による酒気帯びの有無の判定は、「アルコールが検知されるか否か」によって行うということである。

2.適切でない。運行管理者は、乗務員等の健康状態の把握に努め、疾病、疲労、睡眠不足等により安全に運行の業務を遂行することができないおそれがある乗務員等を事業用自動車の運行の業務に従事させてはならない。
 したがって、寝不足気味の運転者を乗務させることは適切ではない(乗務させる場合であっても、運転者の声、動作、顔色等をさらに注意深く観察するなどして確認する必要があるといえる)。また、眠気等により運転を中断する際の判断についても、運転者の体調を考慮した上で運行管理者が判断すべきであり、運転者自らが判断するよう指示することは適切ではない

3.適切でない。業務前及び業務後の点呼は、原則、対面で実施しなければならないが、運行上やむを得ない場合は電話その他の方法によることも認められている。
 「運行上やむを得ない場合」とは、遠隔地で業務を開始又は終了するため、当該運転者が所属する営業所において対面点呼が実施できない場合等をいい、車庫と営業所が離れている場合及び早朝・深夜等において点呼執行者が営業所に出勤していない場合等は「運行上やむを得ない場合」には該当しないことから、電話その他の方法よる点呼を行うことはできない


  問25 正解 適3,4 不適1,2

1.適切でない。他の自動車に追従して走行するときは、常に「秒」の意識をもって自車の速度と停止距離に留意し、前車との追突等の危険が発生した場合でも安全に停止できるような速度又は車間距離を保って運転するよう指導する必要がある。
「停止距離」とは「危険を認知してから停止するまでに走行した距離」のこといい、空走距離(=危険を認知しブレーキ操作を行い、ブレーキが効きはじめるまでに走行する距離)と制動距離(=ブレーキが効きはじめてから停止するまでに走行する距離)とを合わせた距離のことである。つまり、問題文にあるような「制動距離と同程度の車間距離」では、急ブレーキの際に前車に衝突する危険がある。

2.適切でない。後半の記述が不適切。事業者は、体質的にお酒に弱い運転者のみならず、すべての運転者を対象として、酒類の飲み方等について指導する必要がある。


  問26 正解 適1,2,4 不適3

3.適切でない。運行管理者は、乗務員等の健康状態の把握に努め、疾病等により安全に運行の業務を遂行することができないおそれがある乗務員等を事業用自動車の運行の業務に従事させてはならない。本肢の場合、医師から「より軽度な勤務において経過観察することが必要」との所見が出されているにもかかわらず、従来と同様の乗務を続けさせており、適切ではない


  問27 正解 A4 B1 C6 D2

走行車線を認識し、車線から逸脱あるいは逸脱しそうになった場合には、車線中央に戻す操作をするよう警報が作動する装置を【A=車線逸脱警報装置】という。
 レーダー等により先行車との距離を常に検出し、追突の危険性が高まったら、まずは警報し、ブレーキ操作を促し、それでもブレーキ操作をせず、追突、若しくは追突の可能性が高いと判断した場合には、自動的にブレーキをかけ、衝突時の速度を低く抑える装置を【B=衝突被害軽減ブレーキ】という。
 急ハンドルや積雪などによる横転の危険を警告するとともに、エンジン出力やブレーキ力を制御し、横転の危険を軽減させる装置を【C=車両安定性制御装置】という。
 交通事故などにより一定の衝撃を受けると、その前後の映像とともに、加速度等の走行データを記録する装置(常時記録の機器もある)を【D=映像記録型ドライブレコーダー】という。


  問28 正解 適2,3 不適1,4

1.適切でない。運行管理者は、異常気象などにより輸送の安全の確保に支障を生ずるおそれがあるときは、乗務員等に対する適切な指示その他輸送の安全を確保するために必要な措置を講じなければならない。本肢のように、運行経路や運送の中断等について、運転者の判断に任せてしまうことは適切ではない

4.適切ではない。肢2の解説にもあるように、交通事故があったときは、当該交通事故に係る車両等の運転者等は、事故の概要を警察官に報告しなければならない。負傷者がなく、自動車の損傷が軽微な場合でも同様である。


  問29 正解2

1.誤り。(1日についての最大拘束時間及び休息期間は改善基準に違反していない)
 1日の最大拘束時間は、16時間を超えてはならず、また、勤務終了後、継続8時間以上の休息期間を与えなければならない。
 なお、問22の解説にもあるように、1日の拘束時間は「始業時刻から起算して24時間のなかで拘束されていた時間」をいう。

・1日目の拘束時間:6時~20時45分+2日目の5時~6時=15時間45分
(※1日目の拘束時間は「1日目の6時~2日目の6時の24時間の中で拘束されていた時間」となる)
・2日目の拘束時間:5時~18時30分=13時間30分
・3日目の拘束時間:6時~19時45分+4日目の4時~6時=15時間45分
(※3日目の拘束時間は「3日目の6時~4日目の6時の24時間の中で拘束されていた時間」となる)
・4日目の拘束時間:4時~16時5分=12時間5分

・1日目の休息期間:終業20時45分~2日目の始業5時=8時間15分
・2日目の休息期間:終業18時30分~3日目の始業6時=11時間30分
・3日目の休息期間:終業19時45分~4日目の始業4時=8時間15分

以上により、いずれの日についても、1日についての最大拘束時間及び休息期間は改善基準に違反していない。

2.正しい。(2日目を特定の日とした場合の2日を平均して1日当たりの運転時間が改善基準に違反している)
 1日の運転時間については、2日を平均し1日当たり9時間を超えてはならない。(※1日当たりの運転時間の考え方は、問23を参照のこと)
各日の運転時間の合計はそれぞれ、1日目が10時間、2日目が9時間、3日目が9時間15分、4日目が7時間30分である。

1日目を特定日とすると、「特定日の前日(休日)と特定日(1日目)の運転時間の平均」が(0時間+10時間)÷2=5時間、「特定日(1日目)と特定日の翌日(2日目)の運転時間の平均」が(10時間+9時間)÷2=9.5時間であり、「特定日の前日と特定日の運転時間の平均」については、9時間を超えていないので、改善基準に違反していない。
 2日目を特定日とすると、「特定日の前日(1日目)と特定日(2日目)の運転時間の平均」が(10時間+9時間)÷2=9.5時間、「特定日(2日目)と特定日の翌日(3日目)の運転時間の平均」が(9時間+9時間15分)÷2=9時間7分30秒であり、「特定日の前日と特定日の運転時間の平均」と「特定日と特定日の翌日の運転時間の平均」のどちらも9時間を超えているので、改善基準に違反している
 3日目を特定日とすると、「特定日の前日(2日目)と特定日(3日目)の運転時間の平均」が(9時間+9時間15分)÷2=9時間7分30秒、「特定日(3日目)と特定日の翌日(4日目)の運転時間の平均」が(9時間15分+7時間30分)÷2=8時間22分30秒であり、「特定日と特定日の翌日の運転時間の平均」については、9時間を超えていないので、改善基準に違反していない。
 4日目を特定日とすると、「特定日の前日(3日目)と特定日(4日目)の運転時間の平均」が(9時間15分+7時間30分)÷2=8時間22分30秒、「特定日(4日目)と特定日の翌日(休日)の運転時間の平均」が(7時間30分+0時間)÷2=3時間45分であり、「特定日の前日と特定日の運転時間の平均」と「特定日と特定日の翌日の運転時間の平均」のどちらも9時間を超えていないので、改善基準に違反していない。

3.誤り。(いずれの日も連続運転時間は改善基準に違反していない)
 連続運転時間は、4時間を超えてはならない。
 連続運転時間が改善基準に違反しているかどうかは、運転開始後4時間以内又は4時間経過直後に、30分以上の「運転の中断」をしているかどうかで判断する。 つまり、“「30分以上の運転中断」をした時点で連続運転がリセットされる”ということであり、「30分以上の運転中断」をする前に運転時間の合計が4時間を超えてしまった場合、改善基準に違反することになる。
 なお、この「30分以上の運転の中断」については、少なくとも1回につき10分以上(※10分未満の場合、運転の中断時間として扱われない)とした上で分割することもできる。
また、「運転の中断」とは、「運転を行っていない時間」のことなので、休憩だけでなく荷積みや荷下ろしの時間も含まれる。

以上を踏まえ、1日目~4日目の運転状況を見ると、いずれの日についても連続運転時間は4時間を超えておらず、改善基準に違反していない。


  問30 正解 A1 B1 C1

【事故の原因分析】を読み取ると、事故防止策A~Cについて、以下のように判断することができる。

事故防止策Aについては、事故を起こした運転者は、「新人で地域の地理に不慣れであり」(なぜ4)、「地図を確認しながら運転していた」(なぜ3)ことがわかるので、肢1のような指導を行うことがより直接的に有効な再発防止策であるといえる。
 事故防止策Bについては、「到着が遅れた場合の対応手順が定められておらず」(なぜ4)、「到着時間に遅れることを気にかけていた」(なぜ3)ことがわかるので、今後、同様のケースが生じた場合でも、運転者が落ち着いて対処できるよう、肢1のような対策を実施することがより直接的に有効な再発防止策であるといえる。
 事故防止策Cについては、「軽微な事故を起こした際に受診させた適性診断の結果を活用できておらず」(なぜ4)、「青信号なので行けるだろう」(なぜ3)という運転者の楽観的な予測に基づいた運転(いわゆる「だろう運転」)があったことがわかるので、肢1のような助言・指導を行うことがより直接的に有効な再発防止策であるといえる。


ミニトラック画像
HOMEへ戻る


運行管理者試験対策教材・対策講座

運行管理者試験 対策教材・対策講座のご案内

近年の運行管理者試験は合格率20~30%前後で推移しており、もはや一夜漬けの学習で合格することは困難です。対策教材や対策講座なども活用し、しっかりと学習する必要があります!

運行管理者試験対策教材のご紹介

運行管理者試験対策講座のご案内
【ご注意】試験の受験資格を得るための基礎講習ではありません。

ページトップへ戻る

▲ ページトップ
(C)2012 運行管理者試験対策.net All Rights Reserved.