運行管理者試験過去問題 - 令和2年度第2回(貨物)-解答・解説-

令和2年度第2回運行管理者試験 -貨物-(R03.3実施)-解答・解説-

5.運行管理者の業務に関し必要な実務上の知識及び能力
  問24 正解 適2,4 不適1,3

1.適切でない。業務前点呼及び業務後点呼は、原則、対面で行わなければならないが、運行上やむを得ない場合は電話その他の方法により行うことができる。
 ただし、電話その他の方法で点呼を行うことができる「運行上やむを得ない場合」とは、「遠隔地で業務を開始又は終了するため、運転者の所属営業所で対面点呼が実施できない場合」等をいう。
 「車庫と営業所が離れている場合」や「早朝・深夜等において点呼執行者が営業所に出勤していない場合」は「運行上やむを得ない場合」には該当しないので、電話その他の方法よる点呼を行うことはできない

3.適切でない。本肢のような、異なる営業所間でのIT点呼の実施は、1営業日のうち連続する16時間以内としなければならない。


  問25 正解2,3,4

1.適切でない。後半の記述が適切でない。前の自動車と追越しをする自動車の速度差が小さい場合には追越しに長い時間と距離が必要になる。


  問26 正解 適1,4 不適2,3

2.適切でない。労働者は、原則として、事業者の指定した医師による定期健康診断を受けなければならないが、運転者が自ら受けた健康診断であっても、法令で必要な健康診断の項目を充足している場合は、定期健康診断として代用することができ、この場合、その結果を証明する書面を事業者に提出すればよいとされている。したがって、本肢の事業者の対応は適切でない。

3.適切でない。脳血管疾患(脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血など)は、MRI検査やCT検査などで早期に発見することが可能だが、健康診断では脳そのものの疾患を診る項目は設定されていないため、定期健康診断で発見することは容易ではない


  問27 正解 適2,3 不適1,4

1.適切でない。たしかに運転者の運転操作ミスや交通違反等のヒューマンエラー(人的要因)により発生している交通事故は多いが、事故防止を着実に推進するためには、事故の調査や事故原因の分析が重要かつ有効である。したがって、「発生した事故の要因の調査・分析を行うことなく、事故惹起運転者や運行管理者に特別講習を確実に受講させることを中心とした対策に努めること」は適切ではない

4.適切でない。適性診断は、運転者の運転行動や運転態度が安全運転にとって好ましい方向へ変化するように動機付けを行うことにより、運転者自身の安全意識を向上させるためのものであり、運転に適さない者を運転者として選任しないようにするためのものではない


  問28 正解 A1 B2 C1

1.同一速度で走行する場合、カーブの半径が(A=小さい)ほど遠心力は大きくなる。

2.まがり角やカーブでハンドルを切った場合、自動車の速度が2倍になると遠心力は(B=4倍)になる。

3.自動車が衝突するときの衝撃力は、車両総重量が2倍になると(C=2倍)になる。


  問29 正解 ア3 イ1

ア 当該運行に適した車両について
 F地点とG地点間の道路に設置されている道路標識は「車両総重量8トン(8,000kg)以上又は最大積載量5トン(5,000kg)以上の貨物自動車等の通行禁止」を意味する「大型貨物自動車等通行止め」の道路標識であり、G地点とH地点間の道路に設置されている道路標識は「標示板に表示されている高さを超える高さ(積載物の高さを含む)の車両の通行禁止」を意味する「高さ制限」の道路標識である。
 つまり、「車両総重量が8トン以上」、「最大積載量が5トン以上」、「高さが3.3mを超えている」のいずれかに該当する事業用自動車は本運行には適さないことになる
 以上を踏まえ、以下のように判断する。

・事業用自動車1:車両総重量が8トン以上(19,910㎏)であり、最大積載量も5トン以上(11,200㎏)なので、本運行には適さない

・事業用自動車2:車両総重量が8トン以上(10,680㎏)であり、最大積載量も5トン以上(6,300㎏)なので、本運行には適さない

・事業用自動車3:車両総重量、最大積載量、自動車の高さ、いずれも問題ないので、本運行に適している。

したがって、この運行に適した車両は、事業用自動車3である。

イ 高速道路のC料金所とD料金所間の運転時間を1時間30分としたことについて
 「C料金所~D料金所間(135km)を設定された運転時間(1時間30分)内で走行できるか」を考えるが、「車両総重量が8トン未満で、かつ、最大積載量が5トン未満の貨物自動車」が高速道路の本線車道を走行する際の最高速度は時速100kmとされており、本運行で使用する事業用自動車3(※設問アの解答より)も該当する。
 以上を踏まえ、以下(1)~(3)のいずれの解法で正誤判断してもよい。

・解法(1)(※走行距離から正誤判断する)
 時速100kmで1時間30分(1.5時間)走行した場合、100km/h×1.5時間=150kmなので、設定時間で150kmの距離を走行することができる。

・解法(2)(※運転時間から正誤判断する)
 135kmの距離を時速100kmで走行する場合、135km÷100km/h=1.35時間、これを「分」に変換すると1.35時間×60分=81分(1時間21分)なので、運転時間が1時間21分以上に設定されていれば設定時間内に走行可能である。

・解法(3)(※平均速度(時速)から正誤判断する)
 135kmの距離を1時間30分で走行する場合、135km÷1.5時間=90km/hなので、時速90km以上で走行することができれば設定時間内に走行可能である。

したがって、運転時間を1時間30分と設定したことは適切である。


  問30 正解2,3

1.誤り。(1日についての最大拘束時間及び休息期間は改善基準に違反していない)
 1日の最大拘束時間は、16時間を超えてはならず、また、勤務終了後、継続8時間以上の休息期間を与えなければならない。
 各日の拘束時間・休息期間は以下のようになる。
 なお、フェリー乗船時間は「休息期間」として取り扱われるため、1日目のフェリー乗船時間は拘束時間には含まれず(=拘束時間から差し引く)、また、この休息期間とされた時間は、勤務終了後の休息期間から減ずることができる。

<拘束時間>
・1日目:始業5時~終業22時-フェリー乗船時間4時間=13時間+2日目の4時~5時=14時間
 ※1日目の拘束時間は「1日目の5時~2日目の5時の24時間の中で拘束されていた時間」となる。
 ※「2日目の4時~5時」は、1日目の拘束時間にも含まれる。
・2日目:始業4時~終業17時30分=13時間30分
・3日目:始業4時~終業17時30分=13時間30分
・4日目:始業6時~終業19時=13時間

<休息期間>
・1日目:終業22時~2日目の始業4時=6時間(※)
(※)勤務終了後の休息期間は原則として8時間以上必要だが、1日目の場合、フェリー乗船時間(4時間)も休息期間として扱われ、勤務終了後の休息期間から減ずることができるので、違反とはならない。
・2日目:終業17時30分~3日目の始業4時=10時間30分
・3日目:終業17時30分~4日目の始業6時=12時間30分

以上により、いずれの日についても、1日についての最大拘束時間及び休息期間は改善基準に違反していない。

2.正しい。(2日目を特定の日とした場合及び3日目を特定の日とした場合の2日を平均して1日当たりの運転時間が改善基準に違反している)
 問23の解説にもあるように、1日の運転時間は2日を平均し1日当たり9時間を超えてはならない。
 各日の運転時間の合計は、1日目が10時間、2日目が9時間30分、3日目が9時間30分、4日目が9時間なので、違反の有無は以下のように判断する。

1日目を特定日とした場合、特定日の前日が休日のため、「特定日の前日と特定日の運転時間の平均」は9時間を超えないので、改善基準に違反していない。
 2日目を特定日とした場合、「特定日の前日(1日目)と特定日(2日目)の運転時間の平均」が(10時間+9時間30分)÷2=9時間45分、「特定日(2日目)と特定日の翌日(3日目)の運転時間の平均」が(9時間30分+9時間30分)÷2=9時間30分であり、「特定日の前日と特定日の運転時間の平均」と「特定日と特定日の翌日の運転時間の平均」のどちらも9時間を超えているので、改善基準に違反している
 3日目を特定日とした場合、「特定日の前日(2日目)と特定日(3日目)の運転時間の平均」が(9時間30分+9時間30分)÷2=9時間30分、「特定日(3日目)と特定日の翌日(4日目)の運転時間の平均」が(9時間30分+9時間)÷2=9時間15分であり、「特定日の前日と特定日の運転時間の平均」と「特定日と特定日の翌日の運転時間の平均」のどちらも9時間を超えているので、改善基準に違反している。  4日目を特定日とした場合、特定日の翌日が休日のため、「特定日と特定日の翌日の運転時間の平均」は9時間を超えないので、改善基準に違反していない。

3.正しい。(2日目及び3日目の連続運転時間が改善基準に違反している)
 連続運転時間(1回が連続10分以上で、かつ、合計が30分以上の運転の中断をすることなく連続して運転する時間)は、4時間を超えてはならない。
 連続運転時間が改善基準に違反しているかどうかは、運転開始後4時間以内又は4時間経過直後に、30分以上の運転の中断をしているかどうかで判断する。
 なお、この「30分以上の運転中断」については、少なくとも1回につき10分以上(※10分未満の場合、運転中断の時間として扱われない)とした上で分割することもできる。
 また、「運転の中断」とは、「運転を行っていない時間」のことなので、休憩だけでなく荷積みや荷下ろしの時間も含まれる。
 つまり、“運転時間の合計が4時間を超える前に「合計30分以上の運転中断」をしなければならない(=※「合計30分以上の運転中断」をした時点で連続運転がリセットされる)”ということであり、「合計30分以上の運転中断」をする前に運転時間の合計が4時間を超えてしまった場合、改善基準に違反することになる。

2日目の運転状況を見ると、出庫後、まず1時間の運転後に1時間の運転中断(荷積み)をしているので、ここまでは問題ないが、以降(2回目の運転以降)を見ると、〔運転2時間⇒休憩15分⇒運転2時間30分…〕という運転状況であり、「30分以上の運転中断」をする前に運転時間の合計が4時間を超えている(=4時間30分) 。したがって、連続運転時間が4時間を超えることとなり、改善基準に違反する
 また、3日目も2日目とまったく同じ運転状況なので、同様に改善基準に違反する。

なお、1日目、4日目については、4時間を超える連続運転は見られないので、改善基準に違反していない。


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