運行管理者試験過去問題 - 令和2年度CBT試験 出題例(貨物)解答・解説
令和2年度CBT試験 出題例(貨物)解答・解説
問24 正解2,4
1.適切でない。確かに、事故が発生した場合に運行管理者が責任を負うことはあり得るが、業務を統括する事業者自身も当然に責任を負う。また、運行管理業務とは無関係なことが原因で起きた事故の場合、運行管理業務上に一切問題がなければ、運行管理者が責任を負うことはないと考えられる。したがって、「事故が発生した場合には、事業者に代わって責任を負う」というのは適切ではない。
3.適切でない。業務前点呼及び業務後点呼は、原則、対面で行わなければならないが、運行上やむを得ない場合は電話その他の方法により行うことができる。
ただし、電話その他の方法で点呼を行うことができる「運行上やむを得ない場合」とは、「遠隔地で業務を開始又は終了するため、運転者の所属営業所で対面点呼が実施できない場合」等をいう。
「車庫と営業所が離れている場合」や「早朝・深夜等において点呼執行者が営業所に出勤していない場合」は「運行上やむを得ない場合」には該当しないので、電話その他の方法よる点呼を行うことはできない。
問25 正解2,3
1.適切でない。停止距離とは「危険を認知してから停止するまでに走行した距離」のことをいい、空走距離+制動距離で求めることができる。
空走距離とは「危険を認知しブレーキ操作を行い、ブレーキが効きはじめるまでに要する時間(=空走時間)の間に走行する距離」のことをいい、本問では空走時間を1秒間としているで「空走距離=1秒間に走行する距離」となる。
時速36kmで走行中の自動車の場合、1時間(=3,600秒)で36km(=36,000m)の距離を走行することになるので、空走距離は、36,000m÷3,600秒=10mとなる。
制動距離は問題文にあるように8mなので、停止距離は、空走距離10m+制動距離8m=18mとなり、本肢は適切ではない。
4.適切でない。後半の記述が不適切。事業者は、体質的にお酒に弱い運転者のみならず、すべての運転者を対象として、酒類の飲み方等について指導する必要がある。
問26 正解1,4
2.適切でない。労働者は、原則として、事業者の指定した医師による定期健康診断を受けなければならないが、運転者が自ら受けた健康診断(人間ドックなど)であっても、法令で必要な健康診断の項目を充足している場合は、定期健康診断として代用することができる。
3.適切でない。運行管理者は、乗務員等の健康状態の把握に努め、疾病等により安全に運行の業務を遂行することができないおそれがある乗務員等を事業用自動車の運行の業務に従事させてはならない。本肢の場合、医師から「より軽度な勤務において経過観察することが必要」との所見が出されているにもかかわらず、従来と同様の乗務を続けさせており、適切ではない。
問27 正解1,3,4
2.適切でない。自動車がカーブを走行する場合において、自動車の重量及びカーブの半径が同一の場合には、速度が2倍になると遠心力の大きさは4倍になる。
問28 正解3
1.適切でない。大型トラックの原動機に備えなければならない速度抑制装置とは、当該トラックが時速90キロメートルを超えて走行しないよう燃料の供給を調整し、かつ、自動車の速度の制御を円滑に行うためのものである。
2.適切でない。後半の記述が不適切。指差呼称は、安全確認のために重要な運転者の意識レベルを高めるなど、有効な交通事故防止対策の手段となっている。
4.適切でない。これはドライブレコーダーの説明である。デジタル式運行記録計は、瞬間速度・運行時間・運行距離等の運行データを電子情報として記録する装置である。
問29 正解1,1,1
1.C地点に11時50分に到着させるためにふさわしいA営業所の出庫時刻
「C地点に11時50分に到着させるためにふさわしいA営業所の出庫時刻」を求めるには、「A営業所~C地点までの所要時間」を求める必要がある。
運転時間は「距離÷時速」で求めることができるので、A営業所~B地点までの運転時間が10km÷30km/h=1/3時間(20分)※、B地点~C地点までの運転時間が245km÷70km/h=3.5時間(3時間30分)であり、A営業所~C地点までの所要時間は4時間20分(A営業所~B地点まで運転20分+B地点での荷積み20分+B地点~C地点まで運転3時間30分+B地点~C地点の中間地点での10分休憩)である。
したがって、A営業所の出庫時刻は、C地点到着時刻である11時50分の4時間20分前であり、7時30分となる。
2.運行当日を特定日とした場合の1日当たりの運転時間の違反の有無
問23の肢2の解説にもあるように、1日の運転時間は2日を平均し1日当たり9時間を超えてはならない。
本問の運行当日の運転時間を合計すると、A営業所~B地点:20分(※設問1より)+B地点~C地点:3時間30分(※設問1より)+C地点~D地点:30分(15km÷30km/h=1/2時間)+D地点~E地点:2時間(60km÷30km/h)+E地点~F地点2時間(60km÷30km/h)+F地点~A営業所:30分(15km÷30km/h=1/2時間)=8時間50分となる。
したがって、前日の運転時間が9時間10分、当日の運転時間が8時間50分であり、翌日の運転時間を9時間20分とするので、「特定日の前日と特定日の運転時間の平均」が(9時間10分+8時間50分)÷2=9時間、「特定日と特定日の翌日の運転時間の平均」が(8時間50分+9時間20分)÷2=9時間5分となる。
結果、「特定日の前日と特定日の運転時間の平均」については9時間を超えていないので、改善基準に違反していない。
3.連続運転時間の違反の有無
連続運転時間(1回がおおむね連続10分以上で、かつ、合計が30分以上の運転の中断をすることなく連続して運転する時間)は、4時間を超えてはならない。
また、運転の中断は、原則として「休憩」を与えるものとされている。
連続運転時間が改善基準に違反しているかどうかは、運転開始後4時間以内又は4時間経過直後に、「30分以上の運転中断」をしているかどうかで判断するが、この「30分以上の運転中断」については、少なくとも1回につき「おおむね連続10分以上」とした上で分割することもできる。
つまり、“運転時間の合計が4時間を超える前に「合計30分以上の運転中断」をしなければならない(=「運転中断の時間が合計30分に達した時点」で連続運転時間がリセットされる)”ということであり、「合計30分以上の運転中断」をする前に運転時間の合計が4時間を超えてしまった場合、改善基準に違反する。
設問1及び2で求めた運転時間を当てはめると運転状況は以下のようになる。
往路については、4時間以内の運転(20分+3時間30分=3時間50分)に対し、中間地点で10分、さらにC地点で1時間の休憩をしているので問題ない。
復路も、まず4時間以内の運転(30分+2時間=2時間30分)後にE地点で30分の休憩をしているので問題なく、その後も4時間以内の運転(2時間+30分=2時間30分)後に乗務を終了しているので問題ない。
したがって、連続運転時間は4時間を超えておらず、改善基準に違反していない。
問30 正解4,6,9
<運転者が予知すべき危険要因>の(2)は、「前方を走行する二輪車の進路変更に対する危険要因」であり、危険を避けるためには、肢オの「二輪車を追い越そうとはせず先に行かせる」よう指導することが適切である。
また、(3)は、「左折車の影に見える自転車の道路横断に対する危険要因」であり、危険を避けるためには、肢エの「脇道の自転車の動きに注意し走行し、仮に出てきた場合は先に行かせる」よう指導することが適切である。
そして、(5)は、「駐車車両の先にいる歩行者の道路横断に対する危険要因」であり、危険を避けるためには、肢アの「駐車車両の付近の歩行者の動きにも注意しスピードを落として走行する」よう指導することが適切である。
以上により、<運転者が予知すべき危険要因>とそれに対応する<運行管理者による指導事項>として最もふさわしい組み合わせは、(2)- オ、(3)- エ、(5)- アとなり、肢4、6、9が正解となる。